「私がダンテのパートナーに??」

「あぁ、次の依頼にはお前の協力が必要なんだ。」

首を傾げながら問うに、ダンテは何でも無いことのようにそう言い放つ。
協力が必要と言われても自身、喧嘩も出来ないごく普通の一般市民である。
依頼内容はというと勿論悪魔絡みで。

「無理だよ!!絶対無理!!」

慌てて拒否をするのも無理はないだろう。
だが、ダンテはその答えを予想していたようで、ニヤリと口の端を持ち上げの手をそっと掬い上げた。

「なにもに悪魔と闘えなんて言わねぇよ。ただ、今回の依頼はちょっと特殊でね。」

「と、特殊って・・・?」

「とある大富豪が開くパーティーの警護と言えばわかりやすいか?baby?」

ダンテの言葉には背中に嫌な汗が流れるのを感じる。

「も・・・もしかして・・・招待客として・・・?」

「Jack pot!!」

嬉しそうに言うダンテに、くらりと眩暈がした。


簡単な話が、依頼主である大富豪が開くパーティーの警護に当たって欲しいというもの。
初めこそダンテも「ただの警護だ?他をあたりな。」と一蹴したのだが、どうも依頼主の様子がおかしいと問い詰めたところ、ここ最近頻繁に悪魔の被害にあっているとのこと。
よくぞまぁ今まで生きていられたものだとダンテも呆れるほどだった。
だがおおっぴらに警備員を配置するわけにもいかず、デビルハンターと名高いダンテの元に依頼を寄越してきたという訳で。

「で、だ。そのパーティーってのが、男女ペアじゃないと入れねぇらしくてな。」

「だったら・・・レディでもトリッシュだって居るじゃない。」

「あのなぁ、。」

未だ納得しきれないは、ダンテと同じデビルハンターの二人を候補に上げた。
仕事のことを考えても彼女たちの方が適役だと思ったからだ。
だがダンテは呆れたように溜息を吐くと、掬い上げたの細い指先にちゅっと軽く口付け、

「お前がパートナーじゃねぇと嫌なんだ。」

と、赤く熱を持った形の良い耳に唇を寄せて囁いた。

「・・・っ!い・・・いつ?」

「今夜だ。」

「こっ!こんやぁ?!!」

「心配するな、。ドレスはちゃんと用意してあるんだぜ。」

のうろたえる様子に口元の笑みを深めたダンテは、語尾にハートマークの付きそうなほど嬉しそうに言うのだった。









+++

「ダ、ダンテ・・・やっぱこれ恥ずかしいよ。」

バスルームで着替えていたが、ドアの隙間から顔だけを覗かせそう漏らした。
陰になってよくは見えないが、薄っすらと薔薇色に染まった頬に戸惑うように揺れる瞳。
そっとドアに添えられた白い腕を引くとすんなりと現れた赤に、ダンテは思わず口笛を吹いた。

「最高だ、!よく似合ってるぜ。」

真紅のロングドレス。
大きく開いた胸元は胸の谷間を強調し、右肩紐には控えめに薔薇を模った上質のレース。
長いスカートは丁度床に着くギリギリの長さで・・・

「はぁ・・・サイズ、ぴったりすぎて恐いくらいだわ。」

「そりゃ、お前の身体のことなら隅から隅まで知ってるからな。」

その言葉にぼんっとの顔が赤く染まる。
「このエロ親父・・・」と呟くも、それはダンテに聞こえていないようで、さらりと流されてしまった。

「後は、仕上げだな。」

「仕上げ?」

独り言のように言ったダンテの言葉には首を傾げると、ダンテは更にその口元の笑みを深くした。

「っきゃ!!」

突然の浮遊感に小さく悲鳴を漏らす。
抱き上げられ連れて行かれた先は、大きなデスクの上で。

「上は最高なのに足元がこれじゃ色気ねぇだろ?」

そう言ってダンテはの足元に跪くと、革のショートブーツの紐を器用に解き脱がせてしまう。
まるで従者が主にそうするように優しくその足を取ると、恭しくその甲に口付けを落した。
そして、足に何かがぴたりと嵌る感触。
そっと足元へ視線を向けると。

「うっわぁ・・・綺麗。」

華奢なフォルムにラインストーンが撒き散らされキラキラと輝くそれに、目が釘付けになる。

「ほら、立ってみろ。」

すっと差し出された手を取って床に立つと、高いヒールも気にならい程丁度良いサイズだった。

「すごい!なんだか魔法にかけられちゃった気分だね!」

気を良くしたのか、ニコニコと嬉しそうに笑ってそう言うに、ダンテの頬も自然と緩んでしまう。
その身体をそっと抱き寄せ、「まだ、仕上げは残ってる。」と耳元で囁くと、は不思議そうな顔をダンテへと向けてきた。

「っ!・・・ぅ・ん・・・」

薄く開いた唇に被せるように己の唇を重ね、何度もその唇に吸い付く。
いつものキスとは違う、まるで唇を食べられてしまうかと思うようなキスには脳の奥が痺れるのを感じた。

「ん・・・っはぁ・・・」

ちゅっと音を立てて離すと、苦しそうに肩で息をするの姿がダンテの青い瞳に映る。

「Perfect...」

呟くように言われたその言葉に、は息苦しさで潤んだ瞳をダンテへと向けた。
その頬はまるで上質なチークを引いたかのように薔薇色に染まっており、なによりも目を惹くのは。

「そのルージュ、よく似合ってるぜ、Princess.」

何度も何度も吸い付かれて真っ赤に色づいた唇はルージュを引いたようで、普段は化粧けの少ないのまた別の魅力を惹き出していた。



「やっぱり・・・今夜の依頼はナシだ。」

「な、何言って・・・っきゃぁ!」



反転するの視界。
その耳にはトントンと軽く階段を駆け上がる音。
ポスッと落とされた先は真っ白なシーツの上。
非難するように名を呼ぶの声も、今はダンテを喜ばせる材料にしかならない。




「こんなの姿、他のヤツに見せるには勿体無ぇ。」




依頼を受けた理由が、のドレス姿を見たかったからと言えば彼女は怒るだろうか。

避けることなく受け入れられたその唇の柔らかさに、痺れ始めた脳の片隅でダンテはそう思うのだった。











12時を待たずにとけた魔法

それは王子のせいか...悪魔のせいか...
(―――短い魔法だったな・・・)










END




+++

携帯版で相互していただいた早瀬諒様へ贈ります。
2様かおっさまの大人ダンテで甘い夢をとのことだったのですが。
大人・・・?甘い・・・?
うん、正直ごめんなさい;
こんなものですが、少しでも楽しんでいただければ嬉しいです☆
リクエスト、ありがとうございました!
タイトルに昭和臭がするのは気のせいだと思っていただければ・・・(ゲフゲフン)





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